サプライズ★フィナーレ
「お前、何で口紅変えてんだ? 俺が言っても、全然変えなかったくせに」
「……関係ないし。離して」
大して変わらないし、単に使い切っただけ。
よく気付いたと感心してしまう。
……いつも見ててくれたのね。
感傷的になりそうな気分を振り切り、腕を離そうとすると、壁に押され両手で挟まれてしまった。
……懐かしい爽やかな柑橘系の香りが更に切なさ誘うから、焦って押し退けようとしても、ビクともしない厚い胸……もう限界で慌てて俯いた。
「……エリ」
久々に私の名を戸惑いがちに呼ぶ声に、一気に悲しみの雨が、階段に零れ落ちた。
次の瞬間、思い切り傾いた翔の唇が、下からこの唇を持ち上げるように強引に塞いだ。
「……バカッ! 誰かに見られ」
「いい! 翔輝と思」
「バカッ、大嫌い!」
私は、思いっきり押して大声で叫び、泣きながら全速力で階段を降り始めた。
……バカ……バカ……バカッ!
心で何度も唱えながら、必死に翔から遠ざかって行った。
「……関係ないし。離して」
大して変わらないし、単に使い切っただけ。
よく気付いたと感心してしまう。
……いつも見ててくれたのね。
感傷的になりそうな気分を振り切り、腕を離そうとすると、壁に押され両手で挟まれてしまった。
……懐かしい爽やかな柑橘系の香りが更に切なさ誘うから、焦って押し退けようとしても、ビクともしない厚い胸……もう限界で慌てて俯いた。
「……エリ」
久々に私の名を戸惑いがちに呼ぶ声に、一気に悲しみの雨が、階段に零れ落ちた。
次の瞬間、思い切り傾いた翔の唇が、下からこの唇を持ち上げるように強引に塞いだ。
「……バカッ! 誰かに見られ」
「いい! 翔輝と思」
「バカッ、大嫌い!」
私は、思いっきり押して大声で叫び、泣きながら全速力で階段を降り始めた。
……バカ……バカ……バカッ!
心で何度も唱えながら、必死に翔から遠ざかって行った。