サプライズ★フィナーレ
トイレから戻ると、翔の姿は消えていた。

力なく席に座ると、翔輝君からアトリエに来るよう連絡が入っていた。

そして躊躇いながらも訪問すると、翔輝君が残っているだけでホッとした。

そしてアトリエの窓際に作られた白いカウンターテーブルに案内される。

設立以来だから久しぶり。


「一仕事終えて、ここで夜景眺めながらの一杯は、格別」


そう言って優しく笑う翔輝君は、いつもどおりで安心する。


「ごめんね、連絡出来ず。まだちょい手が離せないから、テレビでも観て待ってて」


「私こそごめんね。一昨日、何だか変だったから」


翔輝君は、一瞬怪訝な顔を見せるけれど、すぐ笑って謝るから、慌てて首を横に振った。

……自覚ないの?


「仕事で行き詰まってたから」


そう言うと、テレビを付けて仕事に戻って行く。
……私は、何だか腑に落ちないまま、窓の外で煌めく都会の星屑を、ぼんやりと見つめ続けた。
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