サプライズ★フィナーレ
「ペース早くない? 食べなよ」


「今夜は、飲みたい気分なの」


たまには、お酒の力借りて何もかも忘れたい。
そして翔輝君に甘えてしまえたら……。


「何かあったの?」


「何も」


「……聞くよ。今夜は、とことん付き合うから、全部吐き出しなよ」


……やっぱり双子ね。

昔、落ち込んでた時、翔も同じこと言ってくれた。

口調は、俺様節だったけど。

私達は、見慣れた光の渦を眼下に、しばし無言で缶を傾け続けた。

五分程経った時、不意にうっすらガラスに映る
翔輝君の視線とぶつかった。
ドキッ! 胸が跳ねる程、射止めるような眼差しは翔そのもの。

慌てて視線から逃れるけど、ずっと彼の視線は感じたまま。

……やめて……これ以上、翔を感じたくない。


「誰のこと考えてるの? ……聞かせてほしい。素直な心の声」


翔輝君は、俯き目を瞑った私に、酷く緊張した声でそう聞いてきた。

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