サプライズ★フィナーレ
「愛梨……今ここにいるってことは、俺とここで一晩過ごすって意味だよ。……わかってる?」


それは、わかってる。

わからないのは……もういい、信じて賭けてみる。

目の前から強く見上げて頷くと、彼はどこかに意識が飛んでしまったように見えた。

私を見ているけれど、見ていない。

しばらく沈黙が続き、ふと我に返った彼は、突然両目から涙を流した。

私は、驚きのあまり声も出ない。


「ごめん、やっぱ無理」


「翔!」


螺旋階段を凄い勢いで降り行く彼を、私は無意識にそう呼んでいた。

階段の途中で、超驚愕顔で私を見上げるのは……?


「翔……でしょ? 今までも何度か入れ替わってた。違う? ……翔と信じて来たの。翔と過ごす為に来たの。違うならごめんなさい。帰ります」


私は、ゆっくりと階段を降りて、彼の二段上で止まった。

そして長い沈黙の後、彼は罰の悪い顔を見せて口を開く。


「……エリ」


……やっぱり翔。

私は、ホッとすると同時に凄い勢いで涙が溢れ出した。

今ここに翔がいてくれる、それが全て。

もうこれ以上、何もいらない。





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