サプライズ★フィナーレ
「俺……本気で翔輝に託す気でいた。世界中で俺だけが、永遠にエリを幸せに出来ないと思ったから。……でも無駄な抵抗だった。だからもう絶対逃がさない。……俺だから来たんだろ? 覚悟決めな」


翔は、追い詰めた獲物に最後の一撃をしかけるように、ゆっくりと階段を上がり始めた。

もう抱えきれないほど強烈な何かを、今放とうとしているように感じられた。

そして放たれたら最後……
決して止められない気がした私は、焦りながら階段を逆に上がった。


「……落ち着いて」


「無理。今夜は、誰にも邪魔されね。……諦めな」


その瞳からは、眠っていた活火山が一気に爆発したように、凄まじいほど激しい熱情が、濁流のように溢れ出していた。

私は、一瞬にしてその燃え盛る愛に飲み込まれ押し流されたと同時に、つまづき後ろに倒れた。

でも咄嗟に翔が抱え込み、幸い頭を打たずにすんだ。

痛っ……
顔を歪ませて目を開けると、僅かに開かれた唇に熱い唇が下りてきた。

そしてすぐに強引に唇をこじ開け、深く激しく繋がりを求め続けてきた。

息も小刻みにしか出来ないほど強く長く求められ、翔から満ち溢れる愛を感じた。

それは、絶え間なく待ち焦がれた、至福の到来であった。


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