サプライズ★フィナーレ
刻々と移り変わる空の下、陽が落ちるにつれ暖かなキャンドルの光が増していき、幻想的な雰囲気を作り出す同様、現実感なんてまるでなく、本当に夢の中にいるような気分でいた。

人前式は、列席者の方々に結婚を承認してもらう挙式スタイルで、司会は翔輝君が務めてくれる。

まずは、誓いの言葉を翔が読み始めた。


「私、櫻木翔は、美しく純粋で優しい愛梨を、心から愛しています。これからもその笑顔が絶えぬよう、生涯に渡り愛し続け守り抜くことを誓います」


翔は、強くはっきりとした声で、とても誇らしげに誓いを読み上げてくれた。

これ……翔が考えてくれたのよね?

嬉しくて幸せすぎて、ただただ唇を震わせながら右隣の翔を見つめた。

そんな私に、祭壇の花びらが舞い上がりそうなほど艷やかな眼差しで唇を緩める翔。

私も唇に弧を描いて応え、緊張の中まさにこの瞬間を脳裏に浮かべ、本気で考えた誓いの言葉を読み上げる。


「私、櫻井愛梨は、幼い頃からあなたの花嫁になることが夢でした。どんな時も嘘偽りなく真っ直ぐなあなたを、心から愛しています。そして今……あなたの隣にいられることに……心から感謝し、あなたの……妻として、一生涯……愛し支え……続けることを……誓います」


読み上げるうちに、奥底から強く熱い想いが込み上げてきて、何度も何度も言葉を詰まらせてしまった。

翔は、そんな私の背中に、あたたかな手のひらを優しく当ててくれた。

翔の限りなく広大な愛に包まれ、私は体中から天使のように美しく純粋な愛を放ち、妖精のようにフワリ宙に舞い上がるような心地良さを感じていた。






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