サプライズ★フィナーレ
空は、すっかり夕焼けから藍色に染め替え、一番星が二人を祝福するように煌めき放つ空の下、翼が届けてくれたブルーの婚姻届けに二人でサインをした。

櫻井を名乗るのは、今日で最後。

また櫻木愛梨に翔の妻として戻れるのは、父と母の深い愛情のおかげ。

参列席の母の写真と赤い目で微笑む父を見た瞬間、ポロポロ涙が滴り落ちた。

そんな私に翔は微笑み、白いハンカチを差し出してくれるから、照れ笑いしながらそっと拭った。

そして二人で結婚の宣言をすると、参列者の方々が純白の花びらを一斉に舞い上げた。

それは、結婚の承認を得た証である。

嬉しくて幸せ絶頂の私が笑顔で翔を仰ぐと、翔も光輝く笑顔で私を見つめて頬にkissをしてくれた。

私は、翔の幸せ溢れる笑顔とこの光景、そして泣きたくなるほど愛しい翔への愛を、生涯ずっと忘れはしない。

そう強く強く、胸に刻み込んだ。

参列席の周囲からも笑顔と盛大な拍手の祝福を頂き、二人至高の笑顔でお辞儀をして感謝の意を伝えるのだった。

最後に立会人の翔輝君と翼による挨拶で、無事サプライズ挙式はフィナーレを飾り、シャボン玉で見送られながらの退場となった。

柔かなあたたかい光の中、シャボン玉と共に翔と寄り添い合える幸せ噛み締めながら、翔の笑みを合図に、晴れて夫婦となった私達は、ゆっくりと歩き出した。


「エリ」


そしてアーチの下で立ち止まると、翔に優しい声で名を呼ばれた。

見上げると、その澄んだ鮮やかな瞳は、眩い愛に彩られた光を放ち、私の全てを釘付けにした。

私の瞳には、魔法のように翔以外、誰も何も映らなくなる。
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