サプライズ★フィナーレ
「……強いね、翔輝君は」


「え? ……そんなことないよ」


翔輝君は、驚いて否定しながら、また空を見上げてしまう。

そんな彼に私は、黙ったまま首を横に振って見せた。

そして尊敬の意を込めて、静かに微笑んで見つめ続けた。

そんな私をチラッと見て、僅かに照れた顔するけれど、すぐに真顔になって真っ直ぐに私を見つめ返した。


「愛梨こそ強いよ。……たださ、一つだけ思うことは……もう傷付けたくない、誰も。そして愛する人を守りたい。例え世界中を敵に回しても、倫理から外れたとしても」


それは、誰かを傷付けたってこと?
翔輝君が?

信じられないけれど、一つだけ確信したことは、まだまだ私の知らない翔輝君が、たくさんいるってこと。

私は、上手く言葉が出てこなくて、ただ頷くことしか出来なかったけれど" どんな翔輝君でも、私は応援する "

そんな思いを込めて、控えめだけどギュッと両手を握って、胸前でガッツポーズをしてみせた。
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