サプライズ★フィナーレ

耐えきれなくなりそうなほど、重苦しい緊張感に支配されながら、手術室のドアが開くのを全員険しい表情で待ち続けた。

誰もが、一心に母の無事を願う中、父がゆっくりとドアに一歩踏み出したとたん、無音で自動ドアが開かれる。


｢先せ…………｣


父は、執刀医に手術結果を問い掛けようと口を開いたが、医師の一目でわかる壮大な疲労感をまとう姿に、すぐに凍り付き放心状態で立ち尽くすのだった。

それでも私は、ほんの微かな望みを胸に、医師が口を開くのを極限の緊張状態の中で待ち続けた。

神様……どうか命だけは……。

医師は、表情筋一つ動かす力さえ残っていないといった悲壮な表情で、父を見つめながら口を開いた。


｢最善を尽くしましたが……｣


その言葉を耳にした瞬間、私の目の前から景色も音も翔の暖かな温もりも香りも、全て消え去っていった。