サプライズ★フィナーレ
しばらくの間、優しい響きに意識を集中していると、そっと手の上にあったかな温もりが感じられた。

驚いて目を開けると、翔がベッドサイドから大きな手で私の手を包む姿が、目に飛び込んできた。

そして、この上なく優しく微笑んでくれる。


『……やっと起きたか』


少しかすれた声で呟くと、私の右手を両手で貝殻のように閉じてから、ギュッと握りしめてくれた。

その優しい瞳と声音から、心底安心していると読み取れた。

……翔……久しぶりの翔だ。

やだ、なんか照れる……ずっと寝顔見られてた?

目覚めてからも、黙って見てるなんて。


『コラ……無視かよ? ……お前さ、眠り姫かよ!? ってくらい、寝て寝て寝まくりやがって。この多忙な俺様が、何百回覗いてやっても、ひたすら寝まくりやがって。しかも避けてるのかよ!? ってくらい、俺がいる時は、一歩も出て来ねー。何様だっつーの!』


優しい瞳から一転、いつもの俺様節出現に、目が点になってしまう。

……ムードない。

しかも大袈裟ね……
せいぜい数十回ってとこでしょ?

でも ありがとう……
何度も覗いてくれてたの知ってるよ。

でも寝たフリばかりして本当にごめんね。
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