【SS】天才少女の復讐法。
「あら、もうこんな時間…!
仕事あるから、戻るわね…!」
そう言った看護師さんに頭を下げて
俺は再び、フェンスによしかかった。
「ほんとあいつ、演技力高ぇわ…」
ふっと笑いながら、そんなことを呟いた。
けっこう一緒にいた時もあったのに
母さんのお見舞いに行っていた、なんて
そんな素振り、見せられたこともない。
『内緒にして』って
看護師さんに言っていたってことは
…お礼を求めてなかった、ってことだよな。
お礼を期待してるんじゃなくて
純粋に母さんを心配してくれてた、って…
そうゆうことだよな。
優しすぎるよ……あいつは、本当に。