友情は初恋と引き換えに
私がため息をついている間にも、2人は自分の家のように上がりこんでくる。



「ほら!ご飯食べよ!お菓子も持ってきたよ!」



まゆなんてリビングのソファーに座って、持ってきたスイーツを並べ始めた。



あ、『鐘のとき』のお菓子だ…。



………あ!鐘で思い出した。



あのおじいさんのこと。



「まゆ、あのね……」



そこまで言ってから口を積む。



あのことは……言わない方がいいかもしれない。



あの時の思い出はあの時のままで残しておいた方がいいかも。



さっき言いかけた言葉は、まゆには聞こえてなかったみたいで、どんどんスイーツを箱から出してくる。



龍人は勝手に冷蔵庫を開けて買ってきたビールを入れ始めた。


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