友情は初恋と引き換えに
ふと黒板が目に入って、無意識のうちにチョークを手に持った。



何を書けばいいのかわからない。



違う。



書きたいことがありすぎて、なんて書けばいいのかわからない。



「私だって……本当は…」



手が動き出し、黒板の上をチョークが走っていく。



苦しい思いで書き出した相合傘。



右は龍人、左はつむぎ。



「本当は……」



ゴーン…ゴーン…ゴーン…



危険を知らせるように鳴った鐘の音でハッとする。



どこからか足音が聞こえ、急いで相合傘を消し去った。


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