友情は初恋と引き換えに
ガラガラ…



「あ、つむぎ〜。まだここにいたの?帰ってこないから心配したよ?」



教室に入ってきたのは、もちろん龍人とまゆ。



「う、うん…筆箱がちょっと見つからなくてね」



黒板の文字がまだ完全には消えていないから、バレないかとヒヤヒヤする。



2人に見えないように、必死に背中で隠した。



「つむぎは相変わらずだよな〜」



龍人が教室に入ってくる。



「龍人もそういうことあるでしょー」



そこまで言って気がついた。



私が図書室で見た2人の姿。



今ここに立っている2人の姿。



「ねぇ…もしかして、今までずっと2人でいたの?」



声が震えそうになるのを堪えながら声を出す。



「ずっとっていうか…つむぎが筆箱を取りに行ってから?」



目を合わせて確認しあう2人。



「おう、俺が部活終わって教室に忘れ物取りに行こうとしたら図書室に陶山がいてな」



「そ、そうなんだ…」



その言葉で私は頭を撃たれたような感覚がした。



『鐘の音を2人で聞いた男女は結ばれる』



まゆと龍人は…ずっと2人だった。



鐘の音が鳴った時も。



本人達が気づいているのかはわからないけど、ジンクスの条件にはぴったり一致する。


< 82 / 263 >

この作品をシェア

pagetop