青春メトロノーム
プロローグ
私は過去にしがみつき、現実に振り戻される。
戻されてたまるかと、過去にぎゅっとしがみつく。
ぐちゃぐちゃの汚い字で、颯太は『俺たちはずっと一緒だろ』とノートに書いた。
苛立った書きなぐりの字がノートを走る。
すぐ横でぽろぽろと泣く私の頭をそのノートでポンと叩いた。
暁(あきら)は、そのノートを奪うと、自分の鞄に入れた。
「じゃあ、頂戴。これ、俺が貰うから」
「は、ずりぃ。大体お前が転校なんかするから、百花が泣いているんだぞ!」
「俺の方が泣きたいのに百花が泣くから泣けないんだ。二人の傍から離れるのは俺の方だろ?」
< 1 / 201 >