青春メトロノーム
花びらが舞って彼の全身を包み込むと、彼ごと花びらが散っていく。

もう、会えないのだと私が気づくのより心が早く拒絶した。



「おい、起きたか」

むにゅっと摘ままれて、段々と息が出来なくなった私は口を大きく開けた。

「起きたな。ほれ、起きろ」

起きたと確信したくせに、無理やり起こすのは起きてないような?
混沌とした、辻褄の合わない行動に今度こそ私の視界はクリアになった。

小さなライトの下、私は眠っている?

「着いたぞ、起きろ」

結局、私が起きたか確信してなかったようだ。
この横暴さ、この適当さ、この豪快さ。

私は知っているような気がして、身体を起こした。


「お兄ちゃん」


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