青春メトロノーム



「お前みたいな我儘バカに教えるか」

「!」

お兄ちゃんを見て育った暁と颯太。

二人の言葉が悪いのは、お兄ちゃんの影響が強いんだ。

「……颯太が居なくなった」
「へえ」

「昨日まで居たの。なのに暁に腕を掴まれてから、音だけになった。今は、もう……居ない」

「何で居ないのか、お前は分かってるの?」

車のキーを抜いて、エンジンを切る。
すると、家の居間の灯りが点いた。
きっとお母さんとお父さんが心配して家の中で待っている。

それでもお兄ちゃんが私の心にナイフを突き刺すから私は一歩も動けなかった。


「暁も大切だから」





< 115 / 201 >

この作品をシェア

pagetop