青春メトロノーム
「お前、愛されてんだぞってこと」
「知ってるよ。分かってるし」
「分かってねえよ!」
お兄ちゃんが怒鳴るから目に大粒の涙がまた滲んできた。
でも違う。
お兄ちゃんの怒鳴り方が暁と同じでまた気持ちが逆流してきた。
「あの双子にとってお前は天使みたいなもんじゃねえの?」
「そんなはずないよ。私、すぐ泣くし。二人みたいに勉強やスポーツが出来るわけじゃないし」
「おじさんが仕事で忙しくて、方や元気な颯太、方や心臓が弱くて走れない暁。おばさんが子育てで疲れてた時、お前があの家に行ったんだ。覚えてるか?」
首を振る。
気づいたら、親同士が仲良かったら仲が良かったのかと思っていたから。
「お前が外で颯太とサッカーをして、颯太が遊び疲れたら暁と絵本読んだり人形で遊んだり。極めつけに、女の子の友達引きつれておばさんにピアノ教わったり。おばさん、不慣れで不安ばっか抱えていた時に、お前が居場所をくれたんだ。女の子が欲しかったけど飲みこんでいたおばさんに、お前がピアノを教わることで居場所を作った。……あの家があの家で居られるのは、お前のおかげだった」