青春メトロノーム
優菜に事後報告で暁にアドレスを教えたことを告げたら、感涙しながら抱きつかれた。だから私も抱きしめ返す。
「優菜……」
「何?」
「颯太の事、嫌ってるのに……ありがとう」
「百花?」
バッと離れた優菜が、私の顔を覗きこむ。
私が笑っているのを見て、躊躇っているのが分かった。
「もう居ないのは私も受け入れるけど、でもまだ消したくないからごめん」
「い、いいよ。百花のペースで受け入れて行こう?」
学年一、いやもしかしたらこの町で一番綺麗かもしれない優菜がクシャクシャの顔で泣いた。
成長したのか一歩後ろに下がったのか分からない私の為に泣いてくれた。
私も優菜みたいに綺麗な心が欲しい。強くなりたいと願った。