青春メトロノーム
漫画なんて、一巻の次に七巻、四巻、九巻と並べられている。
サッカーボールが転がってるし、スポーツ新聞が机の上にたまってる。
テレビゲームのやりかけの画面に、窓ガラスにはヒビが入っていて、カーテンはところどころレールから外れている。
ベットの上には脱ぎ散らかした制服と、お菓子のごみが置いてある。
「汚い」
「う、うるせえな。だから入れたくなかったんだよ!」
「暁は、暁はもっと綺麗な部屋だった」
「はあ?」
「うう……うううっ」
担がれたまま、颯太の肩で泣いた。汗と、おにぎりの海苔の匂いがする。
そんな颯太の肩で、泣いた。
「なんで、颯太いるの。触れないって思った。皆、颯太を忘れろって、言ってた。なのに、どうして颯太いるの」
わんわん泣いた。触れられる。そばにいる。嘘じゃない。
温かい。なのに、どうして颯太は颯太だけしかいないの。
「百花」
颯太はベットの上の制服とごみを端っこに寄せると、私を優しくベットに下ろして座らせた。
「母さんが戻ってきてから、お前変だったの、覚えてるか?」
私は首をふる。すると、颯太は髪をかきむしった。