青春メトロノーム

校長室で再会したときも、病院で喧嘩したときも、私のためにって笑ったり怒鳴ってくれたときも、全部消えてしまう。

そこにいたのに。私を支えてくれたのに。

謝ることもお礼を言うこともできないまま、暁が消えてしまった。

「やべえ、美貴ちゃん先生が渡り廊下まで来てる」
「行くぞ、颯太」

「俺が一番得点いれたんだからな。忘れんなよ」

一番大きな声で颯太が叫ぶと、皆に肩を叩かれ小突きあいが始まった。

クラスの、ちょっとガラの悪い男子たちだけど、クラスマッチとか行事では頼もしいぐらいはりきってくれる。
お祭りメンバーの中心に、颯太がいて笑っていた。

授業だって、居眠りしてるけど真面目に出ていた。
知っているようで、全く知らない颯太が、私の目の前にいる。

教室に入ってきた颯太は、視線を動かして私を探した。
そして私を見ると、にこっと笑うのだった。






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