青春メトロノーム
颯太が死ぬ未来があった。
私はそこで生きていた。
そして私が死ぬ未来もあった。
今、私は暁が死んでしまった時間を生きようとしてしまっている。
「ねえ、私たちは誰かが死ぬの? 死なないといけないの?」
「それは俺も分からねえよ」
「3人が生きる時間はないの?」
颯太は顔を上げて、今にも泣きそうな顔で私を見る。
「俺の時計は壊れてた。暁の時計も壊れて、暁が消えたんだろ。だったら――お前の時計は?」
「私の……」
音が鳴らなくなって、クローゼットに直してしまったんだっけ。
「探してみる。あの、このノート、私が持って帰ってもいい?」
「まあいいけど」
颯太も漠然として、信じられない様子だった。
「あのさ、暁は」
震える声は、ヤンチャなくせに誰よりも優しい。
「俺が知ってる暁は手術でも回復しなくて、その次の日に死んでしまったんだ。お前、暁が生きてるって言ってたよな?」
「うん。暁は、一回目の手術は体力が持たなくて結局途中で中断しちゃって、成長して体力つけてから手術して、成功してた。私、お腹の傷を見たよ。まるで十字架みたいに切られてたけど、でも生きてたよ」
「……そっか」