青春メトロノーム
涙声で短く、それだけを言う。
それだけを言うと、颯太は上を向いた。
「俺、今日は空を見上げたい気分なんだよな」
「そう」
「だから、手をつないで俺を家まで送っていけ」
素直じゃない颯太の言葉に思わず笑ってしまう。
泣きたいならな泣けばいいのに。
暁が生きている未来を想像して泣いてくれる優しい颯太。
やっぱり私は三人が良い。誰かが泣くんじゃなくて三人が良い。
三人で一緒に高校に通う。そんな未来が私は欲しいんだ。
私と颯太は空を見ながら、こぼれないように手を握りしめて家に帰る。
未だに夢の中にいる気分だったし、信じられなかったけど、でも何か一つ、いや彦欠片でもいい。可能性があるなら、それを信じてみたいと心から思ったんだ。
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