青春メトロノーム
「お前、寝ぐせやばくね? 鳥の巣かよ」

「うわ、……颯太」

颯太が食パンを食べながら、私の髪をくしゃくしゃと撫でた。

「なんで、颯太……」

颯太は、お兄ちゃんと交代すると、テーブルの椅子がない空間に私の車椅子を押していく。

「うちのババアがまじでババアでさ。俺と暁がお弁当箱出し忘れたの怒って、朝食抜きのお弁当なしってよ」

「あら。三日続けてでしょ。いくら優しい母親でも三日は許せないわよねえ」

お母さんがフライパンにいっぱいウインナーを乗せてやってきた。
そしてテーブルの真ん中にお皿に追加する。

湯気って油でテカっているウインナーに、二人は箸を伸ばす。

暁は納豆にウインナー、お味噌汁に玉子焼き。
颯太は食パン二枚に、ウインナーと目玉焼き、それとヨールグト。

お兄ちゃんは二人を呆れつつも珈琲を手に椅子に座った。
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