青春メトロノーム
「あのね、暁。私ね、颯太も暁にも怒ってないし二人を恨んだことは一度もないよ」
「ああ」
「でもね、二人がせっかく双子で生まれてきた二人が、喧嘩ばっかするのは嫌だし、それに私は今、とても幸せなんだ」
優菜と蹴りあいまで始めた颯太が、渡り廊下に居る私たちに気づいて手を降る。
颯太がいる。
暁がいる。
二人が笑っている。二人が、朝ご飯を一緒に食べている。
それが私の足のことで二人が責任を感じていたからだとしても、私の願いはかなったのだ。
「お前さ」
暁が私の目の前まで歩いてくると、同じ視線になるように座り込む。
カツンカツンと階段から音が響いてきて、颯太が階段を上がってくる音だとわかる。
「なに?」
「お前、今日変」
暁の目が私を睨む。
一瞬、鋭い目線に驚いたけど、私は柔らかく笑った。