青春メトロノーム
二人は顔を見合してお互い首を傾げていたが、それ以上は何も言わないで私の後をついてきてくれた。
クラスは三人とも一緒。優菜ももちろん一緒。
小学校からの馴染みあるメンバーなので、私が車椅子でも普通に接してくれる。
暁は女の子たちに囲まれて勉強を教えたり、颯太は男の子たちに囲まれて、動画を見たりゲームしたりしてる。
私は、クラスマッチ用にタオルにせっせとクラスの番号を縫っている。
「それ、結局黒のタオルにしたんだ」
「うん。返り血がね」
「まだ言ってる」
暁がクスクス笑いながら、半分掴んで自分の机に置いた。
「出席番号をカラフルに縫い付けるんだろ。俺も半分するよ」
「え、暁ってお裁縫できるの?」
「しらん。やったことねえけど」
そっか。暁もまだ完治しているわけではないんだからクラスマッチみたいに、一日競技は参加できないんだね。
「いいよ。おばさんが結局やってしまう未来が見えるもん。私がするよ」
「おれも何枚か……やる」
「はーい。私もするよー」
美貴ちゃんに怒られて、少し薄くなった化粧の優菜も参戦して、せっせと縫い付ける。