青春メトロノーム
「おーい、俺の出席番号は暁と優菜は縫うなよ。お前らのつけたくねえよ」
颯太が手伝いもしないくせに、窓辺に座って偉そうに言ってきて腹が立つ。
「あら。百花に俺のタオル作って、ですって。プロポーズじゃない?」
「はあ?」
優菜がからかうと、周りの男子もはやし立てた。
ちょっとクラスの空気が居心地悪くなって落ち着かない。
「う、うっせーよ。バカじゃねえの」
「照れてる照れてる」
機嫌が悪い颯太が、男子数人連れて授業を拭けようとしたら、美貴ちゃんに首根っこ掴まれて戻ってきたのは面白かった。
サボろうとした数人は、出席簿で叩かれてクラスの女子から笑われていた。
「はあ。颯太も黙ってたら暁みたいに王子さまって言われるのに」
「あれ、颯太はあんな落ち着きないクソガキだけど、中学から人気あるよ」
優菜は手を叩いて笑っていたのに、急に真面目な顔で言う。
「そうなの?」
「うん。でも颯太は、事故のこともあるし百花一筋だから、モテるけど誰もアプローチしないの」
「……知らなかった」