青春メトロノーム
二人に見られて、隠れてしまいたくなる。
私は、二人のためじゃない。二人と一緒に居たい自分のためだった。
「だって、二人共は私を優先したじゃない。好きで、大好きな二人がいなくなっちゃうぐらいなら、自分がいなくなった方がいいって思うでしょ。どちらか一人でもいなくなったら、嫌でしょ」
自分を大切にしてくれる暁も颯太も、私は生きていてほしい。
だから私は、誰かがいなかった嘘の世界なんて、最初からなかったように、二人に説明したくない。
「一人で抱え込むなって言ってんだろうが!」
「颯太、やめろ」
「俺たちは、お前が一人で何か秘密を抱えられると嫌なんだよ。俺たちに関係があるなら、俺たちに話せばいいだろ」
肩を掴まれて、ゆさゆさ揺れた。
暁が庇ってくれたけど、私はそのぐらぐらした視界の中で、二人の家に揺れる花を思い出した。
ゆらゆらと、ゆらゆらと、まるで振り子のように何度も何度も揺れている、あの花のように。
私たちは頼りない時間の中をゆらゆら揺れていた。
私は風が止まった今、凛と立っている花になりたかっただけ。
「私たち、選択を間違えるとね、死んじゃうの」