青春メトロノーム


「お前がそうなってしまったのは、俺が弱かったからだろ。弱くて、いつ死ぬかわからなくて頼りなかったから」

「暁? 私は暁をそんな風には思ってないよ。私、暁にこうやって会えただけで幸せだから」

おじさんには、離婚云々の言葉がチラついて暁の事なんて聞けやしなかった。

うちの両親からも、颯太からも。

だから今日、私の為だと言って転校してきた暁の事が未だに信じられない。


「また三人で一緒に居られるんだよね?」

少しずつでいい。
過去の仲良しだった私達に戻れるならそれでいい。
小さな、ほんの小さな私の願い。
けれど、暁は笑い返してくれなかった。

「それは無理だ」

言い返す隙も与えない、ぴしゃりとした言い方に思わず言葉を失った。

「どうして……?」

「無理に決まってるだろ」

「約束したよ! 私たちは約束した! 『俺たちはずっと一緒だろ』って颯太が書いたノート! 暁が持ってるんでしょ?」

「もうねえょ」

埒が明かないと思ったのか、少し焦れた暁が立ちあがり私に背を向けた。

その背中から強い拒絶が感じられて、悲しくなった。

「あんなノート、もう持ってても意味がねえんだよ」
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