青春メトロノーム

「俺たちは嫌だ。お前は俺たちのために自分の足を犠牲にするように、俺たちはお前のために、やり直したい」
「暁……」

「自分たちで行動して、自分たちで間違えて、それが相手のためでも後悔しない道がもう一度試されるなら、俺たちは挑戦したい」

「……でも」

上手くいくかなんてわからない。
今の世界が一番幸せなのに。

「百花、二人は自分の喧嘩のせいでお前が歩けなくなったことをずっと責めてたんだ。好きな人が自分のせいで歩けなくなるのは、お前だったらどう?」

お兄ちゃんが私に言う。
お兄ちゃんが、小さな二人が生まれた時に医者になろうと決意したように。

私の周りで生きている皆は、自分のためじゃなく相手の幸せを探している優しい人たちばかりだった。

「メトロノームを壊すって」
「うちの家の、リビングのピアノの上のやつだろ」
「目覚まし時計と一緒に買ったから」
 二人はあのメトロノームが、一緒に時計と買ったことを思い出していた。
けど二人の顔は渋い。
「ババアが、壊したいからくれって言ったら隠したんだ」
「お前の頼み方だろ」

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