青春メトロノーム
エピローグ
小さな神社だったらしい。
おばさんはあそこで、二人が無事に産めますようにと毎日お願いしていたらしい。
けれど未熟児で生まれた二人にかかりっきりになり、神社に行かなくなった。
次に行ったときにはお店になっていた。
おばさんは二人が時を刻んだ記念にと、時計を買うように勧めた。
次に訪れたら、空き地になっていた。
誰もあそこが神社ったこともお店があったことも知らない。
けれど、毎日お願いしたおばさんに、神様がチャンスをくれたんだとしたら、それは少し不思議でやさしくてほっこりできると思うんだ。
私たちでは考えつかない何かを、何か目に見えない力で動かされた時、私たちはそれを奇跡と信じるしかないんじゃないか。
そう思うんだ。