青春メトロノーム
過去に触れるメトロノーム。
現実に触れるメトロノーム。
私の心はメトロノームの様に何度も行ったり来たり。
それでも私達の歩き方は一定じゃない。
何度も何度も立ち止まる。駆け抜ける。
私は過去にしがみつき、現実に振り戻される。
戻されてたまるかと、過去にぎゅっとしがみつく。
「うわぁぁぁん! 離れたくないよぅぅぅぅ!」
いつも私は大声で子どもの様だった。
それに付き合ってくれていたのは、二人だ。
「や、話がふりだしに戻るから止めて」
「やっとさ、俺たち開放されたのに、これはねえよな」
「昔のまんまかよ」
「次は何を壊す?」
「ちょっと! 昔みたいに心配しなさいよ!」
二人とまた喧嘩になったので、とうとう庭にいたお兄ちゃんが玄関から大声を出す。
「いいからさっさと始めるぞ、糞ガキども!」
私の思い出は、いつもそこに戻り、そしていつも何か大事なものが欠けていた。
心、感情、――彼らの声。
花びらが舞って彼の全身を包み込むと、彼ごと花びらが散っていく。
もう、会えないのだと私が気づくのより心が早く拒絶した。私はその花びらのじゅうたんの上に転がり、夢を見ていた。
……「夢」、を見てたんだと思う。
甘く切なくて長い「時」間を。 見ていたんだと思う。
「あ、ピーマン」