青春メトロノーム
「用意したのかよ」
「うん。暁が沢山」
「ばらすなよ」

お兄ちゃんが一人、うちの庭でバーベキューの火をつけ、肉を焼きだした。
お父さんたちはビール片手にお肉を食べ、お母さんたちはキッチンでお肉を切った

「もう、勘弁しろよなあ」

颯太が嫌がっていたけど、私たちは気にもせず野菜をお兄ちゃんのところへ持って行って、焼いてもらった。

「あ、くつひも」

靴ひもがほどけたので、座り込んで結ぶ。
「大丈夫か?」
暁が覗き込んできたので、頷いて私は立ち上がる。


お肉を三人で奪い合いながら、私は自分の足で立っている。

私たちはメトロノームを壊して過去に戻った。

そして自分たちで、間違わない選択をした。

暁は私たちに手術する日を伝えたし、私に付き添ってほしいと言った。
颯太はおじさんに暁のところに行ってほしいと伝え、自分は一人でサッカーの試合に向かった。
三人ともでそう行動したんだ。ノートはどこに行ったのか見つけ切らなかったけれど、私たちにはもう言葉はいらないし約束もいらない。

目の前にちゃんと存在しているのだから。

「お前ら、クラスマッチの返り血タオルの準備はできてんのか?」
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