青春メトロノーム


「ぶっさいくな顔で登校してんじゃねーよ」

「颯太」

サッカーボールが入ったカバンを右肩に背負い、真新しいブレザーの制服の颯太が私の隣にやってきた。

「……朝練はどうしたの?」

「今日は休み。お前こそ、いつもそんな不細工な顔で登校してんの?」

「不細工で悪かったわね。元々よ。元々」

「お前、泣き顔もブスなのに可哀相だな。せめてもう少し笑えよ」

朝から颯太の、世話好きの親父みたいな説教に苛々しながらも一緒に学校まで歩いた。

田んぼばかりが続く学校までの道。
とちゅうで二時間に一本しか来ないバスが通過していったけれど、網に掛った大量の魚みたいに生徒が乗っていたので、あれに乗る気はしない。

田舎すぎて高校生になって数週間経ったのに、中学校から持ちあがったようなメンバーで嫌気がした。

制服が変わっただけで、取り巻く環境は一向に変わらない。
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