青春メトロノーム
颯太も部活で先に行くから、バスに乗らない私はいつも一人でとぼとぼ登校していた。
けれど今日は違う。
いつもの田舎道を暁の後ろに乗って、風を切っている。
二人乗りはダメって分かってるからか、ヘルメットは二人ともしててダサいんだけど、……でもそれが御そろいみたいでなんだかこしょばゆい。
「面白かったなあ」
自転車を漕ぎながら、突然暁が吹きだした。
「何が面白かったの?」
「目覚まし時計を隠したら、百花の手が色んな場所をペタペタ探してるの。めっちゃ面白かった。携帯少しずつずらしたら、五月蠅いのか眉をしかめるし」
くくくっと声をこらして笑うから、口の石でも詰め込んでやりたい。
「暁、本ッ当に性格悪い」
優菜みたいに、暁の外見だけ好きになってくれる人は一杯出てきそうだけど、きっとこの性格で逃げて行ってしまうだろう。
「大丈夫」
「何が大丈夫なのよ」
「俺の本性は、――お前しか見せないから」