青春メトロノーム
お昼休みになると、私が図書室のカウンターのソファに座ったタイミングで颯太が現れた。
「うわ、またブスな顔だな」
コンビニのおにぎりを数個持参した颯太が私の顔を見て、お決まりのセリフを吐いた。
「……ホームルーム、後ろから忍び込んでセーフっておかしいよね。ずるい」
「ずるくねえよ。廊下走ってたら間に合ってたのに、先生が『走らず来なさい、遅刻にしないから』って言ったんだ」
「先生は颯太に甘すぎる!」
でも、なんだろう。
さっきまで教室に居た時よりも、図書室でこうして颯太と一緒に居た方が気持ちが落ち着く。
昨日は夕食を一緒に食べても居心地が悪くなかったのに。
「どうしたんだよ、ブスな顔して」
「ブスブス言わないで。心までブスになりそう」
ぺリぺリとおにぎりのビニールを剥がしている颯太を見て、剥がす順番を間違えてしまえと思う程度には心がヤサグレている。
「……昨日の私が作った恵方巻き食べた?」