青春メトロノーム
「うわ、俺、あいつ苦手」
「……颯太がいつも不真面目だからでしょ」
学級委員長も務める優菜は、頭を抱えながらカウンターへ入ってきた。
すると、颯太は私のソファの後ろへと隠れた。
「一人?」
「ソファの向こうに颯太がいるよ」
「じゃあ一人ね」
「……」
どうして優菜と颯太も仲がこう、悪いんだろう。
小学生時代から、掃除をさぼる颯太は、優菜に箒を持って追いかけ回されていた。
「クラスマッチがさ、もうすぐあるらしいの。夏休み前の忙しいこの時期に」
「へー。二クラスしかないのにクラスマッチ……」
「そう。でも最後は学年選抜で1年対2年対3年で対決よ。問題はそこではないのよ」
委員会で貰ったらしい冊子を開いて見せてくれた。
その隙に優菜は買ってきたお弁当を広げ出した。
「クラス全員御そろいの何かを身に付けるってルールがあるらしいの」
「え、学際みたい。中学で色別の御そろいのTシャツ着たよね」