青春メトロノーム

「なんで暁くん?」

「男子は外でサッカーなんだよね?」

「そうね。女子は体育館でバレー」

「暁、心臓の手術したから身体に大きな傷があるから、隠したいんじゃないかな」

颯太が暁の事を考えてくれてるなんて嬉しい。

「ああ、そっか。身体が弱いあんたら二人はタオルで身体温めながら見学の方がいいもんね」

「二人って、え?」

私とは違う考えで納得した優菜は、お弁当の最後の一粒を丁寧に掬う。

「暁くんは、手術終わったばっかりだから見学って美貴ちゃんが言ってたよ。本当は半年ぐらいは安静にしてほしいのに、こっちに引っ越して来たんだって」

「それ、幼馴染なのに初めて知ったよ」

昨日、あんなにはしゃいだうちや暁の親達を見ても、そんな大事なことを何故私に伝えなかったのか気になる。

「私はクラス委員だから教えて貰えたの。でも、暁くんは走り回ったりするイメージがないもんね。走って回ってた馬鹿は颯太だけど」

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