青春メトロノーム
「颯太は馬鹿じゃないよ!」
「はいはい。そうやって百花はすぐに庇うんだから」
優菜みたいに『一+一は二』の人には、颯太みたいに『一+一=田んぼの田』と、面白い方を答えてしまう子どもっぽい人は許せないらしい。
小学生の時、『どうしたら颯太君が掃除中に箒で遊ばず真面目に掃除をするか』という議題を学級会で提案しようとして、私と暁に反対されて渋々引っ込めたのは鮮明に覚えている。
あれから私たちにも怒られて、颯太は掃除を終わらせてから遊ぶ、にシフトチェンジンジしたんだから、成長はしたのに。
「お、山本、此処に居たのか」
「暁くん!」
優菜の声が途端に女の子らしい可愛い声色に変わった。颯太の時は、ツンツンと薔薇の棘みたいに攻撃的だったのに。
「副学級委員の下田が野球部で忙しいらしくて、クラスマッチの小物作り、俺が代役することになったんだ」
「ええ! 嘘! 転校してきたばかりで悪いよう!」