青春メトロノーム

白々しいぐらい大げさに驚く優菜だけど、この様子だと知っているのだろう。
こんな計算高い優菜が、ぼーっとしてる私にはしっかりしていて羨ましくて憧れたりする。

「先生も早く慣れるだろうって賛成してくれたから大丈夫。なんか一杯作るんだろ?」

「そうなの。百花も見学組だから引っ張りこもうと思ってたから、正直暁君が手伝ってくれるなら嬉しい!」

さっと座っていた位置を横にずらしたので、暁は必然的に優菜の隣に座った。
座ってすぐに暁は私のお弁当を見て、怪訝そうな顔をした。
当たり前だ。遅刻ギリギリで暁より遅く起きたんだもん。

「あ、弁当。お前、今朝そんな余裕なかっただろ」

「昨日、残り物を詰めて冷蔵庫に入れてたの」

「かー。そんなんするなら俺のもしろよー。今日は購買のパンだったんだぞ」

「別に。颯太はおばさんが居ない間、ずっとコンビニのものよ? 私が作るって言っても拒否してたんだから」

「……お前」

「えー? 今朝って何?」

「昨日、暁のおかえりパーティーしてて親が寝落ちしちゃったから遅刻しちゃって」

「つ、つまり親が居ない家で一緒に寝ちゃったの?」

ボボっと頬を赤く染めた優菜が何を想像したのか分からないが、もう説明するのも面倒になった。

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