青春メトロノーム



飛行機雲が、真っ青な空を割る。

それでも空は大きすぎて、飛行機の煙ぐらい蚊よりもどうでもいい存在なのかもしれない。

私は優菜を待ちながら颯太を見る。
部活の始まりはいつも学校の周りを数周走る。
それが何周か決まっていないのか、毎回数えてもバラバラだから。
だらしなく着崩して腰パンしてたのだが、ものの三日で矯正させられてたのには笑ってしまった。

「お待たせ、百花」

ひょこっと顔を出した優菜の方には黒いケースがぶら下がっている。

「先生に話し合いの報告にしては、長かったね」
「まあね。先生から百花へって強く頼まれちゃってさ」

優菜は私の目の前に、小さな紙を付きだした。
それは、入学式当日にゴミ箱に捨てた用紙。

「部活届だ……」
「そ。強制ではないけど、強く説得されちゃった」
「高校は部活必須じゃないよね?」
「そうだけど、こんな進学校でもない田舎の学校は、内申書のためや推薦入試狙うなら部活は大切だよ。一緒にブラスバンド部に入ろうよ」


優菜は小学校時代からトランペットをしていて、とうとう親に頼みこんでマイトランペットを買ってしまっているぐらい夢中だ。

それでいて、とても上手くて確か大会でも優勝経験有りだったはず。

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