青春メトロノーム
「……分かんない」
勝手に大人になったくせに、勝手にそんな事を言う暁になんだか怒りが込み上げてきた。
「なんでそんなこと言うのよ! 馬鹿!」
ベッドから枕を掴むと思いっきり投げつけた。
それを暁が片手で簡単に防御してしまうのも腹立たしい。
「帰って来たんだから三人でまた一緒の遊んだり、一緒にご飯食べたり、一緒に学校行ったり」
「ガキじゃねえんだからそんなことできねえんだよ!」
ヒステリックに叫んだ私よりも、暁は大きな声で叫んだ。
「俺はお前を独り占めする! 絶対する。絶対に」
「嫌い。暁なんて嫌い!」
「うるせぇ。俺はそんな言葉じゃ傷つきもしねえよ。馬鹿野郎」
苦しそうに言い放った暁は、枕をベッドに投げつけると階段を下りていく。
子どもの時みたいな喧嘩じゃなくて、険悪な気持ちがいつまでも燻っている。