青春メトロノーム
「大きな声で喧嘩してたわねえ」
おばさんとお母さんが向こうの庭でケラケラと笑っていた。
「どっちも子どもみたいに声を張り上げちゃって」
「ダメねえ。気持ちをぶつけ合うだけじゃあ、何も解決しないわよ」
さわさわと花が揺れているのに、私の心はドス黒く歪んでいる。
「出かけてくる。ご飯要らないから!」
苛々して、立てかけてあった暁の自転車を蹴ると、暁の部屋の窓が開いた。
「てめー! 俺のバイトで買った自転車だぞ!」
「ばーか!」
走って逃げる私を暁はずっと睨んでいたけれど、追いかけてはこなかった。