青春メトロノーム
「それ買うの?」
おじさんもひょいっと入ってきて、不思議そうに聞いてきた。
「欲しいかな。リズムが狂って気持ちが悪いんだもん」
「デザインとか機能とか性能とか色々調べてから、長く使えるのを選んだほうがいいよ。そうだ。ラーメン食べて帰ろうか」
脈拍もなく、急にそんな事を言われて、なんだかわざとらしくて思わず身構えた。
話を逸らそうとしているような、そんな感じ。
「女の子にラーメンってのもあれかな」
私の様子に気がついたのか、申し訳なさそうな顔で頭をポリポリ掻いた。
「……餃子も食べたい」
「もちろん!」
おじさんが余りにも必死だったので、そこまで必死で欲しくなかったメトロノームは、また今度にすることにした。
駅前のラーメン屋は、にんにくたっぷりの餃子が美味しいので、それを優先しただけのこと。