青春メトロノーム
「百花の発想は単純ね」
「……知ってますよ」
昨日、どうやって帰ったか覚えていない。
お父さんやお母さんにも、きっと私の言動はおかしかったはずなのに。
おじさんと食べたラーメン屋での件も聞かないで、いつも通り振舞ってくれている。
「いってきます」
「あら、透さん。お弁当」
丁度、隣の颯太達の家からおじさんが出てくる音がして、それと同時におばさんの声もした。
おにぎりを持ったまま、窓際まで近づいてそこ様子を見た。
おじさんの曲がったネクタイをおばさんが嬉しそうに直している。
「……」
本当に離婚を考えていたとは、到底思えない様子だ。