青春メトロノーム
「おーい、百花、お父さん行ってくるぞー」
「……どうぞ」
「もっと可愛くお見送りしてくれよ」
お父さんは悲しそうにオーバーリラアクションをするが、なんだかお兄ちゃんと同じ動きで嫌になる。
お兄ちゃんが帰ってきたら二人も相手しなきゃいけないのか。
「はいはい。行ってらっしゃい。私ももう行かなきゃ」
今からおばさんが洗濯で庭の方へ行く。
その隙に、見つからないように出よう。
今朝の私のコンディションは最悪なので、笑顔で挨拶できる自信もないし、暁に会いたくなかったから。