向日葵
第1章
《蓮華 side》
「……やっ…あんっ…陸…っ」
「声…抑えて、バレる」
陸と、この関係が始まったのは
高校に入って少ししてからの事。
あたしは、家から1番近い高校を選んだ。
電車通学は面倒だったし、この町がとても好きだった。
家を出て、海沿いの道を歩いていくと
一本道にでる。
その一本道の突き当たりに、この高校がある。
自然豊かで、潮の香りがするこの町が
あたしは大好きだった。
高校生活も始まって、少ししてからの事だった。
「このクラスに、大阪から転校生がやってきた。」
朝のホームルームで、担任の先生がそう告げた。
と同時に、教室のドアが開き、
入ってきたのは、くせ毛の茶髪に高身長な
世にゆうイケメンとやらだった。
ザワザワと教室がざわめきだす。
「…え、かっこよくない?」
「だよね!!あたしも思ってた!」
なんて声があちらこちらから聞こえる。
一番うしろに座っていたあたしは
ふと、隣に席が増えていることに気づいた。
もしかして____
「成瀬 陸っです。とりあえず、よろしく!」
クシャっと笑った笑顔に
またクラスの女子たちが騒ぎ出した。
「じゃ、成瀬の席はアソコだ。」
予想してた通りに、先生は
あたしの隣の席を指さした。
成瀬 陸が、あたしの隣の席にむかって
歩いてきてる時、ふと目が合った。
その瞬間____
成瀬 陸の顔が一瞬驚いた顔をして、
悲しそうな顔になった後、いつもの笑顔に戻った。
「俺、成瀬 陸。よろしく!!」
「あたしは、橘 蓮華。よろしくね、成瀬くん」
あたしがそう言うと、成瀬くんは
なにか考え事をしてるようで、
「…陸、って呼んで」
「陸…わかった!陸ね!」
あたしたちが仲良くなるのに
時間はいらなかった。