たった1度の人生
「栞、尋。
あのね、ママから大事な話がある。」
この時のママはすごく真剣な顔をしていた。
「あのね、ママとね、パパね…
『りこん』することになったの。」
幼かった私でも『りこん』の意味を理解していた。
やっぱりママ達はりこんするんだねって
冷静に思った覚えがある。
「そっか。
しおりとひろはどうなるの?」
「…
しおりはどうしたい?」
そんな意地悪な質問
幼い子供が答えられるわけがない。
でもこの時すこしだけ…
ほんの少しだけママの方がいいなって
思った。