悪役秘書は、シンデレラの夢を見る!?
「物足りないっていうか、どう私の気持ちを表せばいいのか悩んでる」
「日本男児は、歯が浮くとかなんとか言ってビシッと決め切らないのがいけませんね。私は分かりますよ。シノは、好きな人の前でお姫様になりたいんです」
「私がお姫様? ぷ。ないない。どっちかと言うと、会社の女子社員なんかに怖がられ煙たがられてるのに、私がお姫様なんて」
お腹を押さえて笑っていたら、キースが急に跪いて見上げてきた。
「私は、シノをお姫様にしたい。私の一言で笑顔になって世界一幸せなお姫様にさせたい」
「キースが言うと洒落にならないっていうか。そんな事言われたら、きっと片思いの相手も喜んでくれると思うよ」
私も今、一瞬だけ息の仕方を忘れてしまった。
キースの瞳の中みたいな、甘いチョコレート。
チョコみたいに蕩ける言葉が、キースの外見ではキザに感じない。
「本当? じゃあ、今、シノは喜んでくれてるのかな?」