悪役秘書は、シンデレラの夢を見る!?


「……その場合は、女子社員の敵視は全部あの森元さんが引き受けてくれるでしょ。うちと巧の親公認の花嫁候補だし」

「何でですか!」

「朝から元気ですね、お二人さん」

振り返ると竜崎がにこやかに立っていた。

「おはよう。出張お疲れ様」
「昨日の接待の方が疲れましたよ。後半、席に戻れず何度も庭園を彷徨いましたから」
そうか。竜崎もあの時に居たのか。
でも途中から確かに見かけていなかったけれど、それどころではなかったから大目に見てほしい。

「でも前々から海外企業部の人たちが噂してたんですよね。オーストラリア支社の話」
「竜崎が知っててなんで私の耳に入ってこないの!?」
「知ってたら発言力大きかったからじゃないですか?社長に意見できる存在って少ないから」

意見が言える存在、と聞いて、昨日のあの話がまた腹の中をかけずり回る。

なかなか降りて来ないエレベーターの下、三人で今日の仕事の簡単な打ち合わせをしていると、コツコツと革靴の音を響かせて此方に向かってくる人物に気付いた。

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